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まちづくり情報 5号 ページ2

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これが稲生町の実態―激減する人口、進む高齢化

 
アーケードの歩道から、北を見ても南を見ても人影が見えない!そんなことが日常的になってしまったこの頃の稲生町。国道沿いもさることながら裏通りも人がほとんど通らない日が多いと聞きます。20年前の歩道は多くの人でごった返していたという話が夢のようです。 イエローキャップでは、稲生町の人口や土地利用について調査してみました。


1.激減する稲生町の人口―20年で半減 下のグラフ(図1)には、過去20年間の稲生町の人口減少の様子を十和田市全体の人口の動きと比較してみました。20年前(昭和56年)の稲生町は松木屋・亀屋などの大型店舗と商店街とがうまく共存し、街に活気がありました。スーパーマーケットは小規模で、八百屋さん、魚屋さんも健在でした。そのころ、市の人口は六万人弱。 その後、市の人口は20年間で7%増えました。ところが、昭和56年には1,881人だった稲生町の人口は平成12年には1,019人と半減してしまいました。このため、食料品店もなくなり、稲生町は身近なものの買い物には不便な街となってしまいました。

2.空洞化する稲生町 

  各街区の1/3以上が駐車場・空店舗・空地!  稲生町から人がいなくなるという現実、これは、当時の稲生町の地価が高かったからかもれません。新しく住宅を建てるなら地価の安い郊外へというのも無理からぬ話しです。下の地図(図2)は平成3年から12年までの10年間に地区人口の増減によって地区ごとに塗り分けたものです。 中心街区の稲生町、穂並町、西一番町の人口が激減する一方で、元町、西小稲、赤沼、稲吉など中心街区の周辺地域で人口は急増しています。典型的なドーナツ現象です。  住民の移動とともに商店街から食料品店をはじめとする多くの最寄品の店が消えていきました。中心街区には空店舗が目立ってきていますが、空き家や空店舗を壊したあとの駐車場や空地も多く目につきます。  そこで、私達イエローキャップは街区調査で稲生町一丁目から八丁目までの各街区での用途別の面積を目算し、グラフ化してみました(図3)。これによれば稲生町のほとんどの街区でその1/3以上が駐車場・空店舗・空地という現実がはっきりとわかります。商店街が消店街となり、十和田市の顔が消えようとしています。

3.子供がいない―高齢化社会を先取り?

 右のグラフ(図4)には稲生町の住民の年齢構成を表しました。団塊の世代を含む40・50代の人口が多いのは全国的な傾向と同様ですが、団塊世代の子供達が含まれる20・30代が多くないのは地方の特色と見られます。ここで注目すべきは稲生町の年齢構成です。60・70代そして80歳以上の割合が35%と、市全体の割合(23%)に比べて、異常に高い点です。どうやら稲生町は、高齢化社会の年齢構成を先取りしているようです。実は、稲生町の子供の減少傾向は20年以上前からすでにあったということですが、それにしても、稲生町住民約1,000人のうち、未成年の数が150人しかいないという現実。あなたの周りに未成年者は何人いますか?20年後、稲生町はどうなってしまうのでしょうか!  今回の調査と集計の結果から、稲生町の人口および建造物の空洞化がデータの上からもはっきりしました。また、核家族化により、お年寄りが街に残り、若い世代は市の郊外へ移り住んでいることから、稲生町では高年齢化が異常なスピードで進んでいることなどがわかりました。  したがって、稲生町の中心街区を高齢者にもっとやさしいまちにしていくことが重要であると考えられます。しかしながら、現実の中心街区は食料品などの日常的に必要とされる最寄品を扱う店が極端に少ないこと、また、休憩場所やトイレが少ないこと、歩道とお店の間に段差があることなど、稲生町にはお年寄りにはやさしい街とはいえない面が少なからずあります。  こうしたことから、稲生町は中心市街地活性化基本計画に基づく新しい街づくりを早急に始めなければならない環境にあるといえます。