十和田商工会議所ニュース

『Frontier』より 1998年5月

話題

藍綬褒章受章おめでとうございます。

 平成10年の国家栄典制度に基づく春の褒章受章者が4月28日付で発表された。青森県内 で15名の受章となったが、十和田市からは、十和田商工会議所会頭の稲本純一氏と青森県 理容業環境衛生同業組合理事長の盛田健氏が藍綬褒章を受章した。2名は5月13・14日に かけて東京で開催される伝達式及び宮中拝謁に出席することとなる。

[街づくりは市民運動レベルで]

inamotoj.jpg (2962 バイト) 当所 稲本純一会頭  昭和32年慶応大学在学中から・稲本商店代表取締役に就任し、昭和33年に十和田商工会 議所議員となって以来現在までの約40年間、多数の団体・会社、公的機関の代表・顧問・ 理事等を歴任または現職とする。  現在の主な役職をあげると、十和田商工会議所会頭、・十和田市観光協会会長、十和田 市物産協会会長、十和田地区雇用対策協議会会長、十和田地区安全運転管理事業主会会長、 十和田市国際交流協会会長、及び・稲本商店・・マルタ稲本商事・青森チルドサービス ・・鳩正宗・・・木村酒店の各代表取締役を務める。この他にも数え上げればきりがない。 また、今までに青森県知事表彰や日本商工会議所会頭表彰など多数受賞している。  今回の受章は日本商工会議所からの推薦で通商産業省をとおしての受章となった。受章 について率直な気持ちを伺ってみると、「長く務めて来たことが要因と考えますが、諸先 輩方のお引き立てとご指導の賜です。個人でもらったものではなく、会頭として受章した もので、まわりで支えてくれた役職員をはじめとする大勢の皆さんで頂いたものです。あ りきたりなコメントに聞こえるかも知れませんが、まさにそんな気持ちです」と語った。  しかしながら受章の喜びもそこそこに、一番の課題とする商店街問題について「街づく りは市民運動レベルで今まで以上にやっていかなければならない。」と手放しでは喜べな い心境を切実に語った。

[21世紀ビジョン県業界に]

morita.jpg (3095 バイト)当所 盛田健氏厚生部会長  市内で『理容もりた』を経営する盛田氏は、昭和38年20代半ばから青森県理容業環境衛 生同業組合十和田支部の支部長を務め、県の理事を13年、組織部長を9年、副理事長を通 算12年(3期)と、今日までの計35年間、業界をまとめ上げてきた方である。昨年5月、 県理容業環境衛生同業組合の理事長就任と同時に全国理容業環境衛生同業組合連合会理事 に就任し、現在に至っている。  盛田氏の場合は、青森県の推薦で厚生省をとおしての受章となった。氏は「理容業界の 代表としてもらったもの、周囲の皆さんと一緒の受章であり、皆さんとともに喜びたい」 と語ってくれた。また、今までに大変なことは数々あったと思うが、その苦労を苦労と思 わないで実行していくのが盛田氏の信条のようである。業界の連合会から送られてくる分 厚い資料を取り出して、「しいて言えばこれを見るのが苦労かも知れないヨ」と笑顔で話す。  業界では、全国レベルの21世紀ビジョンがある。「県独自でもビジョンを作っていきた い。それが、十和田支部のためにもなる。」と理容師という職業に誇りを持って話してくれた。現在十和田商工会議所厚生部会部会長としてもご活躍頂いている。


十和田市商店街振興組合連合会

発足から3年目の役割  

平成8年8月1日、商店街では朝から七夕の準備に追われていました。この日、市内の ホテルで、十和田市商店街振興組合連合会の設立総会が開かれました。おりしも、下田街 のジャスコで、開業時の売場面積2万5千╂から、5万5千╂へ増床を行うという、ほぼ 三沢市全体の売場面積に匹敵する計画を発表しており、十和田市の商業界もピリピリとし た空気につつまれているときです。

rengo.jpg (6017 バイト) 十和田市には、従来から十和田市商店街連合会という任意団体がありました。そのうち 、四号線に面する南商店街振興組合、中央商店街振興組合、六丁目商店街振興組合、七・ 八丁目商店街振興組合の4団体が新たに振興組合連合会を設立しました。これらの商店街 では、平成四年に新しいアーケードを付け替えたものの、売上は郊外店に押され気味で横 這いの状態です。アーケード建設の後の疲幣のせいか、集客イベントも思うに任せない状 況が続いています。そこで、4商店街共同イベントの開催が企画され、その第1弾が今年 で3年目を迎える七夕です。また、組織を法人化することによって国・県・市の助成制度 に対応し、毎年のように中小企業庁や県の調査・イベント補助を受け入れてきました。

さて、今の商店街が市民の暮らしを支えているかといえば、いささか心許ない想いです。 特に食品・衣料についてはあらかた郊外店のスーパーアイテムとなった感があります。 組合員の大半は商人であり、地主でもあります。土地に縛られては、速やかな業態変更も おぼつかない、つまり、時代についていけないのです。そんななかでの連合会の役割は、 いまさらながら商業環境整備にあります。裏を返せば、組合員資産(土地)の価値低減を 防ぐためとも言えます。全国的にハコモノづくりの時代は終わったと言われていますが、 十和田市の場合は未だ終わってはいない。買い物以外の目的で出かけられる空間が、中心 部に不足しているからです。いまいちど、公共施設を中心部へ呼び戻したい。病院に近い ので、お年寄りにも住んでいただきたい。これが今国会に提出されている「中心市街地活 性化法案」です。賑やかな町並み、それは買い物客だけでは演出できない。雑踏に安らぎ を覚える人だっています。田舎の街で都会を味わうには、全てを一点に集中させるほか手 はありません。今、中心部の25%を占める空き地・空店舗が、実は、活性化のための資源 である。と、言われる日がいずれ来るものと期待しています。

発足以来、3年目の振興組合連合会では、今年も8月の「七夕」を実施します。そして、 賑わい演出では一歩先をいく秩父市の「夜市(よいち)祭り」を学ぶ計画も立てています。 さらに、市民にお願いして「お出掛けモニター調査」を実施したい。お買い物調査では なく、出かけるという行為を知りたいのです。用事がなくとも出掛けたい心理に、商店街 が応えられれば幸いです。 あれやこれやで、問題山積みの商店街ですが、皆様のご声援をお願い申しあげます。


経済5団体が知事に陳情

景気低迷による中小企業者の経営安定対策を

 戦後二度目のマイナス成長が必至となった我が国経済。県内においても公共投資抑制に よる建設・建材卸の業況悪化や卸・小売店1,782店減少するなど、中小企業の景況感 は最悪の状態にある。この危機的状況下において経営安定対策を緊急果断に取り組んで頂 くよう、青森県商工会議所連合会をはじめとした経済5団体の代表が平成10年4月15日青 森県庁を訪れ、木村守男知事に次の内容で要望書を提出した。

(要望内容)

1.公共投資の推進

@公共事業の拡大と社会資本整備が立ち遅れた地域の実態を配慮した公共事業予算の傾斜 的な配分実現

A中小建設業者の公共事業の受注機会の確保に努めるとともに、資金繰り難による経営の 行き詰まりを回避するにために工事代金の最大限の前払いを含め、遅滞なく代金の支払い が行われるような指導

B情報通信の高度化や科学技術の振興等に資する新しい分野の社会資本の整備

C物流の効率化等の観点から主要港湾・拠点空港・幹線道路等公共事業の早期推進

2.金融対策の円滑化

@現在実施している県単融資制度を中小企業の金融ニーズに即しての一層の充実を図ること

A信用保証協会の基金の一層の充実財政基盤強化による信用保証機能の拡充を図ること

B景気は停滞状況を続けており、中小企業者の経営環境が極めて厳しい状況にあることから、 融資条件の緩和、金融の円滑化について金融機関に要請すること。

※経済5団体  青森県商工会議所連合会・青森県中小企業団体中央会・青森県商工会連合会・青森県経 営者協会・青森県経済同友会

これを受けて木村知事は、「行政としてできるだけ速やかに実行できるよう検討したい」と コメントした。


トピックス

LOBO3月結果

4ケ月連続で最低値更新 先行き景況感も全般的に厳しく

日本商工会議所が4月6日に発表したLOBO(早期景気観測)調査3月の状況を見ると 、全産業合計の業況DI(前年同月比ベース)は、▲63.2となり、4カ月連続で本調査開 始(平成元年4月)以来の最低数値を更新した。全般的な景況感は、卸売、小売でわずかながらマイナス幅が縮小したものの、ほかの3 業種(建設・製造・サービス)とも悪化度合が拡大しており、厳しい状況となっている。

 生産面は、国内需要の低迷、アジア向け輸出の不振などにより売上・採算面での悪化が続いている。消費需要面では、消費税率引き上げ前の駆け込み需要のあった昨年同月に較 べて大幅に売上が落ち込むなど、消費低迷を訴える声が多い。公共工事は、依然発注量が 少なく、厳しい状況が続いている。

 産業別に見ると、建設業では、公共工事、住宅着工件数の減少など、工事の絶対量の不足を指摘する声が多く受注獲得のための価格競争激化から採算が悪化しているとの声も寄 せられた。 製造業では、操業率の低下、在庫増、アジア向け輸出の減少など業況の悪化を指摘する 声が多い。卸売業では、長引く消費低迷で商品の動きが鈍く、売上の落ち込みが大きくな っている。小売業では、一部に若者向け商品が好調との声があるものの、消費マインドの冷込みか ら引き続き売上低調で、消費税率引き上げ前の駆け込み需要のあった昨年同月に比べて売 上が大幅に落ち込んでいる。特別減税の効果についても、目立った効果はほとんど見られ なかったとの声が多かった。 サービス業では、飲食店からは送別会シーズンであるにもかかわらず、宴会需要の減少 や客単価の低下が指摘された。先行については旅館業で観光シーズン入りすることから好 転を期待する声もあったが、全体的に厳しい見方となった。

向こう3カ月の先行き見通しは、全産業合計の業況DI(同月比ベース)が▲47.5と、 弱気な見方が続く。 当面する問題として、新年度の公共事業の動向や個人消費の動向に関心が集まっている ほか、即効性のある景気対策を望む声が寄せられている。

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